責務

既に完売した商品ですが紹介したいと思います。

山内のスクラップ・3way・ミリタリーコートです。

 

 

山内
スクラップ・3way ミリタリーコート
Scrap Doro MIX
アウター 表地 MIX生地/裏地 綿70%*ポリエステル30%
ライナー 表地 MIX生地/裏地 毛56*キュプラ16%*アルパカ14%*ナイロン14%
¥503,800-

 

 

 

特に、この業界ではSNSを中心にディスプレイ越しに顔の見えない誰かに向かったビジネススタイルがフォーマット化されています。

とても、とても便利な世の中、とても生活は捗ります。

それでも、どれだけ便利になってもどれだけ捗っても、現場の臨場感に勝るものはないと思っています。

自分が高校生の時に雑誌で調べたお店で感じたディズニーランドにも近い異世界感は忘れる事はありません、痺れました。

現場で感じ、それらから得られる高揚感に変えられる満足はないように思います。

 

何がどうなっているかわからないもの・手に取ってみて初めて理解できるもの・手に取って見てもらいたいもの。

商品を仕入れる上で大事にしている事です。

そんなこんなで職人気質なブランドが集まりました。

物を作るプロの作品は、何がどうなっているかわからないもの・手に取ってみて初めて理解できるものが多い。

実際に見てみても理解に時間がかかるものもあります。

3CMAでは、作り手がその作品に込めた技術や知識だけではなく、そのビジュアルの奥にある彼らの思いも対面でお伝えしていきたいと思っています。

 

 

 

 

 

 

今シーズン山内からリリースされたスクラップ・3way・ミリタリーコート。

山内さん本人がブランド歴代の最高の作品と言うからには、山内・山内さんの魅力をお伝えするには必要な作品だと思いました。

職人が本心と向き合い本当に作りたかった物からは、そのブランドの本質に触れられる気がします。

彼の哲学や美学が全て詰められた服。

自分は売り手として山内とのお付き合いを始めさせて頂いてからはまだまもないけれど、ブランドを取り扱う身としてこの作品を紹介する事に責務を感じました。


以下山内さんの商品説明です。

アウターとライナーはそれぞれ別々でも着用が可能で、アウターは春先や秋頃のアイテムとして、ライナーは秋冬のアイテムとして使用でき、合わせて着用する事で真冬まで対応可能です。

一般的な3way仕様のアイテムは、アウターとライナーをジップで脱着するものが多く、その際にアウター、ライナーどちらかに、脱着用のジップのディ テールが残ってしまいます。

単体で着用した際にそのディテールがデザインの邪魔になり、私はそのような仕立ては好みません。

それぞれで着用した際にも余分なディテールがなく、さらにシンプルに収めていくためのデザインを考えました。

また、先述したように山内のデザインポリシーの中で、多種多様な付属を使用しないように心がけています。

付属種類もシンプルに、ジップとボタンだけでまとめ上げるのが好みです。

このようなミリタリー系のアイテムには、よくドットボタンが用いられますが、山内はボタンのみで収めています。

ブランドコンセプトでの純日本製の括りも同じくですが、私の性格上、全てを取り入れ、選べる環境で出来上がるモノではなく、制限の中でより良い モノを選び、そのチョイスの中で熟考して完成させるデザインを目指しています。

まさにこのコートの脱着方法は、かなり時間をかけ、試作を繰り返し出来上がったディテールです

2年前の秋冬で発表し、それから多くの再販のお声を頂いておりましたので、今期のコレクションで再提案させていただきます。

縫製に手間暇をかけ、それが山内の最大の特徴ではございますが、ここまで時間のかかる縫製はこのコートが歴代1番です。

型紙パーツの数は約90パーツあり、ステッチをデザインの一部と捉えている山内の真骨頂で随所にダブルステッチ、それに伴う糸貫作業も約50箇所ほどあります。

また、ライナーのリブは、通称「山内リブ」を使用し、全ての工程に山内の精神が宿ったアイテムです。

ハンガーにかかっている状態からオーラを放ち、着用した時の高揚感は群を抜いています。

モノとしてのカッコよさは男服の醍醐味と捉えていますので、まさに山内の真髄と言えるアイテムで間違いありません。

※山内リブ...リブの上に生地を乗せ、リブにテンションを加えながら、生地に一本一本手作業でステッチを施したリブ 布帛のアイテムとの相性、色目の統一感など、出来合のリブとは全く異質の山内オリジナルリブ。


歴代一製作に時間のかかるアイテムをドロスクラップで再構築しました。

スクラップシリーズは、他のアイテムよりも手間のかかる作業が多く、それがこのパーツ数のアイテムになると相当な時間を要します。

モノづくりでは関わった人の数、それに要した時間の分迫力が増すものです。 その迫力は圧倒的で、他を寄せ付けない威圧感さえ感じます。

現時点での山内最高の作品であると思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

スクラップシリーズについて。

弊社が年2回コレクションを発表し15年が経ちます。

毎シーズン新たに試作をしていく⽣地や、コレクションで使⽤している⽣地はかなり多く、種類も多岐にわたります。

また、⽣地製作には最低ロットがあり、コレクションでのオーダーによっては、かなりのメーター数が残ってしまう現状があります。

その状況は世界のアパレル業界ではも等しく、その在庫となってしまった⽣地を、破棄している事実もあります。

その量は膨⼤で、⼤きな社会問題ともいえると私は思います。

ものづくりに関わる以上、全てのロスをなくす事は難しいとは認識していますが、せっかく原料から紡績、設計織りを真剣に取り組んでいただいた⽅々の⽣地を破棄する事は考えられません。

⼭内で使⽤している⽣地は、全てが思いの詰まったテキスタイルですので、新たな⽣地の使⽤機会として考え取り組んだシリーズです。

弊社の数あるストック⽣地をランダムにカットし、⽣地の状態で加⼯、染めの⼯程を加え新たなテキスタイルに変化させました。

その多種にわたる⽣地を使い、洋服の各パーツにランダムに振り分け裁断し、組み上げていきます。

このシリーズでも洋服にしてから加⼯する「製品加⼯」ではなく、⽣地の状態での「⽣地加⼯」までで留め、⼭内の縫製技術で丁寧に仕⽴てています。

⼀点⼀点違った表情を⾒せるパッチワークのようなアイテムですが、同じトーンでの染め上げにより、⼭内らしくカジュアルになりすぎない様意識しています。

スクラップシリーズは、従来の量産よりも時間をかけ製作を⾏うことで、より付加価値を加え、⼿間暇かけて仕⽴てることで、より⼀層の特別感が⽣まれます。

今期は、全ての⽣地に奄美⼤島での「泥染」を施し、本来の⽣地⾊の違いから、全てが異なったダークブラウンに染め上げました。

⼀⾒すると同⾊に⾒えますが、近くに寄ってみると、いろいろな⽣地の表情や、⾊味の違い、感触の違いがあり、⼼踊るアイテムに仕上がっています。

 

 

 

 

 

 

 

最後に、山内の作品には全てフェアトレードのように(意味合いは少し違いますが)、縫製者タグが付けられています。

これは日本の縫製技術者の価値を知ってもらいたいというユーザーへの願いと縫製者への尊敬の表れです。

他にもこの作品には生地加工の職人さんや生地染めの職人さんなど、たくさんの技術者の方が携わっています。

山内さんの思想に賛同した方々です。

今回のスクラップシリーズでは、採用される生地をそれぞれ加工し、一点一点を泥染めします。

ダークブラウンを目指し濃く染め上げ、トーンを均一化。

生地によって色の出方がなる為、それぞれの表情も異なります。

また、パーツの数と縫製箇所は比例しますが、見えない部分までも山内の縫製技術で仕上げられています。

元より生産性を顧みない職人気質な山内さんが、従来のものより更に時間をかけて仕立てた作品。

技術・知識、そしてたくさんのたくさんの思いが込められています。

 

職人山内さんが本当に形にしたかったもの。

 

 

 

 

山内/ヤマウチ

山内の服は全て国内産の素材を使い、全て日本人の手によって作られています。
日本の技術、日本人の感性で作ったもの。
国境を越えた考え方をするよりも、日本に回帰して、足並み、気持ちのベクトルを揃えることにより、美しいもの作りが出来るのではないかと思います。
"
モノ" としての「クオリティー」はもちろん、"" の「繋がり」を大切にし、「残るもの作り」を目指すブランド。