FRANK LEDERのDeutschleder 2B Jacketです。
FRANK LEDERの魅力の一つは"未完成である"という事。
デザイナー自身が、出来上がりの商品となった作品を8割だと言っています。
これは8割の気合いで作ったとか80点満足の仕上がりという訳ではなく、フランクリーダーさんが10割の気合いで100点満点に仕上げた物を、着る人が2割を埋めて完成させるという事です。
FRANK LEDERの作品は、主にデザイナー自らが世界各国の工場から見つけ出したヴィンテージのファブリックやアンティークの釦等が使用されています。
中にはどう説明すればいいかわからない素材もあります。
どうしてそれを洋服の生地として使おうと思ったのかわからない素材も沢山あります。
実例のないそれらの先の2割、着る事によって完成させます。
扱い方によってはそれぞれの変化は別の表情を見せてくれます。
元の色が思い出せないリネンのシャツも、タグの有無でかろうじて表と裏が判断出来るまでになったウールのカーディガンも、それらの先。
そもそも完成というゴールがないかもしれないそれらの先。
それらの先、終わりのない2割との付き合いが始まるのがFRANK LEDERです。
本人が来日された時にお会いできる機会がありました。
僕は嬉しがって長く着ている服と、あわよくばサインもらえないかなと生成りが白になった服を持っていきました。
フランクリーダーさんは僕の服を見て、自分が作った服なのに初めて見るもののようでした。
その姿はクリスマスのプレゼントラッピングを解くこどもの様で、英語かドイツ語かもわからないけれど、「まじぃ!?!?すげー!かっけー!」みたいな事を言っていたと思う。
彼は最初その生地を見た時、なんとなくでも経年の予想はついているはず。
それでもその先の2割は彼の予想をも超えてくる。
毎回コレクションテーマが変わるFRANK LEDERですが、毎シーズン定番品としてリリースされるのが"Deutschleder"のシリーズです。
deutschleder(ジャーマンレザー)は高密度に織られた肉厚の綿生地で、高価な革製のワークウェアの代用品として開発されました。
厳しい労働環境に耐えうる防風性・耐久性はレザーに匹敵します。
特徴は圧倒的な硬さです。
硬すぎて新品だと自立して立ちます。
過去に散弾銃で撃ったデザインがありましたが、それでも弾け飛ばずに穴が空くだけ、ボトっと後ろに静かに倒れていくだけ。
「ジャーマンレザー」と、実際にはレザーではないのに、生地の名前にレザーがつきます。
FRANK LEDERを代表するファブリックの一つですが、 コロナウィルスの影響を受け、工場封鎖・織り機廃棄の為に一度は生産中止となりました。
再開の目処が立たない中いろいろと手を尽くした結果、ライトウェイトに仕上げた新たなジャーマンレザーの生産を可能にしました。
圧倒的に硬いその生地は、高密度に織られた肉厚のコットンで、高価なレザーの代用として開発されたそうです。
最初は腕も上がらないので修行かなって思うかもしれません。
星飛雄馬じゃないんだからって諦めてしまうかもしれません。
それでも確実に言える事は、その先の2割、その他では見ることはない、自分だけが味わう事の出来る作品が完成されるという事。
そんな硬い生地も着込めば柔らかくなりますし、頑張ればフニャフニャになります。
起毛したモールスキンの毛羽は擦れて寝ていき、 可動の多い場所には皺は定着し艶さえ出てきます。
それが2年先か3年先か、10年先かもしれない。
もしかするとずっと未完成かもしれない。
いつになるかわからないその先を追っている時点で既に、10割の気合いで作ったフランクリーダーさんから委ねられた2割に応えられている気がします。
レザー同様に生地の変化過程を楽しむことが出来る作品です。
娘が4歳になりました。
その日、保育園であった事を教えてくれるし、ママとパパのおかげで4歳になれたよって。
そんな事いつの間に。
子の成長は親が思っているより早いのかもしれません。
大リーグボール養成ギブスみたいな硬い生地の洋服も、着込んで頂くと中にニット等着込みやすくなると思います。
「そんなに歩けるようになったの〜」みたいに「あれ〜もうこんなに柔らかくなったの〜」、「そんな事言えるようになったの〜」みたいに「そんなにツヤツヤしてたっけ〜」と、よしよししてしまうかもしれないですね。
良い子に育つも悪い子に育つも親次第。
どちらにしても、いくつになっても、手塩にかけて育てた子は可愛いくて可愛くて仕方がないものでしょう。
FRANK LEDER
Deutschleder 2B Jacket
Black
綿 100%
¥107,800-
ノッチドラペルにノーベント、身幅を確保したフィッティングの2Bジャケット。
生地の迫力に負けない大ぶりなボタンもまたかっこいい。
フランクの執念で蘇ったジャーマンレザー。
復活前の物と比べると少しだけ薄くて少しだけ柔らかい。
それでも大袈裟にすごい生地ですよと言えるには充分な生地です。
最初から少しだけ着やすくアップデートされたと考えましょう。
アップデートバーションでもこの生地を生産できるのはドイツで1カ所のみ。
またいつ中止になってもおかしくない状況。
でもその時はその時。
その時がくればまたフランクがかっこいいのを考えてくれるでしょう。
僕たちができる事は、現時点でフランクがかっこいいと思って作った物を全力で楽しむことです。
online store
instagram
tel 06-4708-7231
mail shop@3cmaosaka.com
FRANK LEDER/フランクリーダー
ベルリン発。
ドイツの歴史と人々の生活・自然をインスピレーションのひとつとし、ストーリーが生まれコレクションが誕生します。
フランク リーダーのクリエーションは、現在のファッション界がみている方向と
別の観点と視点から生み出されている事が多く、そのユニークなコレクションで、新たな知的ポジションを確立しています。
コレクションでは天然繊維にこだわり、ヴィンテージの生地やアンティークのパーツを使用し、本国ドイツにて製作されています。