生姜焼き

 

山内の塩縮加工のシャツです。

 

好きな食べ物はオムライスです。

食材はエビです。

でも、妻が作ってくれる料理では生姜焼きが一番好きです。

同棲を始めた初めての日、作ってくれたのが生姜焼きでした。

春巻きもなんか大葉で巻いてあるやつも美味しいし全部好きだけれど、ふわふわ卵も乗ってないしプリプリとした食感でもないけれど、やっぱり生姜焼きです。

 

 

 

 

 

初めて買った山内の服。

塩縮加工のシャツ。

生姜焼きです。

 

 

  

 

 

しばらく着ているので生地のはり感はなくなっているし、色は褪せ、居酒屋やラーメンを食べに行く時にも着ていたので所々にシミがついてしまっているけれど、生地は傷んでいないし縫製も切れていません。

そう言えば、ボタンも付け替えたことない。

経年で変化した生地の状態に反して、今見ても直線的なカッティング、針目の細かさとその歪みのない軌道は美しい。

履き込んでも潰れないイタリア靴みたい。

てきとうに椅子にかけてもキレイなシャツ。

丁寧に制作されなければ、ここまで着込んでも美しくあり続ける事はないと思います。

履き込んでも潰れないどころか色気の増すイタリア靴がスラックスもジーパンも受け入れるように、褪せてもシミが付いてもキレイなままのシャツはブレザーにもラギッドなものにも落ち着く。

 

 

 

 

 

日本人であるということ

 

山内さんが掲げるブランドのコンセプトです。

機屋さんや縫製の職人さん。

効率化を重要視する現代で、今もなお日本の伝統的な技術で物作りをする人達。

そんな人達と服を作っているのが山内さんです。

職人さん達との信頼関係を築く事や、その品質を実現させる事は簡単な事じゃないと思います。

小規模で密なコミュニティでこそ出来る事。

それにはいい生地やいい縫製などだけではなく、それに関わったたくさんの人達の思いが込められています。

 

効率化に対するカウンタースピリット。

そんなパンクな精神が好きです。

3CMAでも大事にしている事の一つです。

細部まで熟慮された作品は、実際に見て手に取って触って着てみないとわかりません。

そしてそれらから得られる高揚感は、小枠のディスプレイから感じたものとは比になりません。

見る人着る人には大事な事ではないかもしれないけど、3CMAではしっかりとお伝えしていきたいです。

 

 

 

 

 

 

今回の塩縮加工のシャツ。

 

生地は近江産地のコットンリネン。

岡山県の柿渋染めと、奄美大島の泥染めの2色。

柿渋染めを衿あり、泥染めは衿なしの2型です。

色味が濃く変化する柿渋染め、色味が抜けていく泥染め。

どちらも古来から伝わる天然の染色方法です。

それぞれの色変化、どちらがいいなんて決められなかったので、2色発注しました。

同じ形にすると、もしどっちも欲しくなった時にまた困ってしまうので衿有りと無しで変えてみました。

生姜焼きはロースでもバラでも美味しいです。

柿渋染めと泥染め、どちらも人の手で染められるので、濃淡の差があります。

結局困ってしまいそうです。

 

 

 

 

 

 

塩縮加工のシャツは皺付けの加工で、新品の状態から小皺があります。

薄手の生地に圧を加え目を詰め、生地全体にランダムな皺を浮かばせる加工です。

フツフツとした独特な表面は、過ぎる程に丁寧な仕立てを過度に見せない。

美しいけどドレスとはまた違い、身近に感じることが出来る山内さんの加減だと思います。

 

 

 

 

 

カフスと剣先・裾以外は縫製は表に出ない。

前たてやガゼット・ポケットもないシンプルなデザイン。

素材の特性を活かした仕様です。

 

コットンキュプラライニングの無双仕立て。

空気を含みやすく涼しい。

本夏はインナーなしのダイレクトが気持ちいい。

 

削ぎ落としたミニマムなデザインだけれど、素材の顔はちゃんと建つとても綺麗な着地。

他のデザインや生地感に特徴にツイストしても、主張はあり、食いも食われもしない。

シャツジャケットみたいな使い方でも良さそうです。

 

 

  

 

 

 

 

塩縮加工のシャツは自分にとってきっかけの服です。

今は山内の他のアイテムも漏れなく好きです。

それでも毎回楽しみにしてしまうのはこのシャツです。

3CMAに来て下さるお客様にも、きっかけの服になれば嬉しいです。

 

好きな食べ物も知っているはず。

最初に作るものは割と悩んだと思うんですよね。

そういうのもひっくるめて好きです。 

荷解きも済んでいない段ボールの上で食べた生姜焼きが忘れられないんですよねえ。

 

 

 

山内
塩縮加工コットンリネンシャツ 羽衿付き
Kakishibu
¥46,200-

塩縮加工コットンリネンシャツ 羽衿なし
Doro
¥55,000-

 

 

 

 

 

山内/ヤマウチ
山内の服は全て国内産の素材を使い、全て日本人の手によって作られています。
日本の技術、日本人の感性で作ったもの。
国境を越えた考え方をするよりも、日本に回帰して、足並み、気持ちのベクトルを揃えることにより、美しいもの作りが出来るのではないかと思います。
"
モノ" としての「クオリティー」はもちろん、"" の「繋がり」を大切にし、「残るもの作り」を目指すブランド。